《風俗ガイド》もし予約をしていたら確認を怠らないでブログ:07月09日
自宅の脇に花屋を構えて1年になる。
妻と始めた小さな店。
近所の幼稚園に通う一人ムスコは、
帰ってくると真っ先に店の中に飛び込んでくる。
客がいる時は店内に入らないよう言い聞かすが、
5歳のムスコには、なかなか分かってもらえない…
その日は、
いつになくわしの足元から離れようとしなかった。
下を向いて何かごそごそやっている様子。
何度注意しても聞かないムスコの態度に腹を立てたわしは、
ついムスコの顔の前でさっと右手をあげた。
覚悟ができていたのか、
ムスコは両目をギュッと閉じて固まっている。
「いい加減にしろ!」
くちで叱りながら何気なくムスコの手元を見ると
何やらしっかりと握りしめている。
薄眼を開けながらムスコは、
「お父さんとお母さんにプレゼント」
と手を伸ばす。
束ねられた花が2つ、
それぞれがラッピング用のセロファンでまかれ、
バランスは悪いがきっちり、リボンまで結んである。
聞くと、お母さんの日も近かったので、
妻に自作の花束を渡したかったらしい。
花の扱い方を教えたことなどないのだが…
よく見ると、結ばれたリボンの先は、
うまい具合にくるくるとカールしている。
こんな短時間のうちに、
わしのどなり声にもひるまず、よくここまで作れたものだ。
娘ならではの感性と集中力、
そしていつの間に覚えたのか、その観察力に驚いていると、
さっきまでの怒りは自然に消え、顔を張るつもりであげた右手は
いつの間にか力も抜けて、坊主頭の上に軽く置かれていた。
一つでなく二つの花束を作った
ムスコの優しい気持ちがうれしかった。
その日のばん、もう一つの花束は
リボンが外されぬまま自宅のキッチンで飾られていた。